SSS#4 日ASEANベトナム調査報告

鸿运国际_鸿运国际app_中国竞彩网重点推荐スポーツとジェンダー国際平等研究センター（以下、SGE）は、YouTubeチャンネル『Sport for Social Solutions （SSS)』を運営しています。本チャンネルでは、専門家や行政関係者、アスリートなどの幅広いゲストとともに、社会課題解決のプラットフォームとしてのスポーツに光を当て、情報提供や意見交換を行います。

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SSS第4回目のテーマは「日ASEANベトナム調査報告」。

今回は、第3回のインドネシアの調査報告に続き、SGEポスドク研究員の古田映布と宮澤優士が、2024年1月に実施したベトナム?ハノイでの調査を振り返りました。

SGEではスポーツ庁再委託事業として、日本とASEAN10ヵ国政府によるスポーツを通じたジェンダー平等を目指す「ASEAN-JAPAN Actions on Sport: Gender Equality」に取り組んでいます。この事業の大きな柱の一つに、日ASEAN諸国の女性および女児のスポーツ参画における課題とニーズを明らかにすることを目的とした調査事業があります。SGEのメンバーが現地を訪問し、各国の政府関係者やオリンピック?パラリンピック委員会、競技連盟、トップアスリート、NGO団体、そして体育系大学に所属する女子大学生へのインタビューを実施しました。

日本と共通する2つの認識

宮澤はまず、ベトナムと日本のスポーツに対する考え方には共通点が多いとした上で、調査対象者から多く語られた2つの基本的な視点を共有しました。一つは、スポーツを魅力的にするのは何よりも競技力だとする競技志向的な考え方。そして、男女間のスポーツ参加率を引き合いに語られる「男女平等はスポーツにおいて達成されている」という認識です。

一方で、女性が参加可能な種目の選択肢が少ないことやメディア表象における男女間の不平等性といった参加率だけでは語ることのできないジェンダー課題もみられたことに触れ、「男性中心的なスポーツ界」の構造が存在していることを強調しました。

男性中心的なスポーツ界

また、現地の女子学生へのインタビューでは、「男らしさ」を強調するようなイメージや言葉（例.男っぽい女等）を向けられた経験が語られました。古田は、このような女性アスリートに向けられるステレオタイプの問題点を指摘し「これからそういうところも変わっていかなくてはいけない。スポーツをやっているから男性っぽいわけではない」と、スポーツにおける女性の多様性を認識していくことの重要性を語りました。

ベトナム女性博物館の訪問

今回の調査では、ベトナムの歴史における女性の役割や多様な分野で活躍してきた女性にスポットライトを当てた「ベトナム女性博物館」を訪れました。そこでは、ベトナム戦争の最前線で活躍する女性や革命を牽引する女性、男性の作った道具で農作物を収穫する女性など、一般的に想起されるステレオタイプ的な女性像には収まらない「多様な力強い女性たち」が紹介されていたそうです。

歴史的に女性が幅広い社会分野で活躍しそれを称える文化がある一方で、スポーツ界では男性中心主義的な構造が見られるベトナム。

宮澤は、「男らしさ」を養う修練の手段として西洋から入ってきた近代スポーツの名残が影響している可能性を指摘しながら、「ベトナムにはものすごく力強い女性の歴史がある。自分たちの居心地の良いようにスポーツをつくり変えていけるのかなと思います」と、今後のスポーツ界の変革に繋げていくことへの期待を語りました。

最後に、古田は「私たちとしてはその国にあったやり方で一緒に模索していく。その結果、今回ベトナムで女性が活躍している文化も見えましたし、（今後）日本で応用できることも見えてくると思うので、一緒につくり上げていくということに忘れずに取り組んでいきたい」と動画を締めくくりました。

今回の記事のフル動画はこちらよりご覧いただけます。