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2017.04.11
文部科学省?私立大学研究ブランディング事業「持続可能な相互包摂型社会の実現に向けた世界的グローカル研究拠点の確立と推進」の一環として、2017年3月9日(木)のドイツ時間午後14時から16時30分まで、ルートヴィヒ?マクシミリアン大学ミュンヘン(ドイツ)プロフェッサー?フーバー?プラッツ棟V005教室において、同大学日本学研究センターおよびグローカル研究センターの共催による公開ワークショップ「Die Dreifachkatastrophe von 2011 in der japanischen Volkskunde(東日本大震災と日本の民俗学)」が開催された。コーディネーターは及川祥平(川村学園女子大学文学部講師/本学非常勤講師)?クリスチャン?ゲーラット(日本学研究センター准教授)がつとめた。登壇者と発表タイトルは以下の通りである。
?及川祥平
「趣旨説明—東日本大震災と日本の民俗学」
?加藤秀雄(本学民俗学研究所研究員)
「一般家庭における被災資料の収集から展示まで—宮城県気仙沼市における取組み」
?金子祥之(日本学術振興会特別研究員PD/立教大学)
「放射線は生活をどのように変えたのか—原発から20kmに生きる人びとの生活誌」
及川の趣旨説明では「過去化」と「現在性」をキーワードとして被災地をとりまく社会的状況が紹介しつつ、民俗学の特質をふまえた研究および社会への貢献はどのようにあり、またあり得るかを問いかけた。これをうけて、加藤発表では国立歴史民俗博物館勤務時代の文化財レスキューの経験から、収集された「ありふれた」生活道具を活用した研究と被災地への貢献の可能性が示された。金子発表では原発30キロ圏内の食生活の状況が分析され、民俗学的研究の社会への問題提起性が示された。討論では、チェルノブイリ原発事故や東日本大震災のドイツにおける受け止め方等を話題としながら、日本民俗学?ドイツ語圏の日本研究?ドイツ語圏民俗学の間での活発な意見交換が行なわれ、盛況のうちに閉会した。
なお、本ワークショップの成果は日独両言語の論集として、近日中にグローカル研究センターから刊行すべく、編集作業を開始している。