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2016.10.20
2016年10月8日(土)、正課科目「キャリアモデル?ケーススタディ」の学外実習として、学生が雑誌「ビッグイシュー」を路上で販売する「道端留学」を実施しました。
ビッグイシューは、ホームレスの仕事をつくり自立を応援する雑誌として1991年にロンドンで生まれ、日本では2003年に創刊しました。道端留学は、実際に路上でビッグイシューを販売するといった教育研修プログラムです。スタッフの説明の後、販売者からアドバイスをもらい、新宿西口地上通路にて各自が売場を見つけて販売活動を行いました。販売終了後にビッグイシュー東京事務所に戻り、ホームレス問題とビッグイシューの取組みについて講義を受け、意見交換を行いました。
学生は、道端留学を通して、不確実な社会で生きること、働くこと、助け合うこと、社会を生き抜くことについて考え、体験のプロセスを通して多様性を受容する、他者を尊重する、貢献する、といったキャリア形成において大切なことを学びあいました。
学生のコメント(五十音順)
木村千夏(文芸学部文化史学科2年)
ビッグイシューはホームレスの方が社会の中で、ビジネスを通じて対等な立場を得るきっかけを作っている活動でした。私は「仕事が人を対等にする」という言葉がとても印象に残りました。今回ホームレス問題が、多くの社会問題の氷山の一角であることを知り、自分にとっても見逃せない身近な問題であると気付きました。
齋藤勇作(文芸学部マスコミュニケーション学科4年)
この体験を通じ、ホームレスの方々をひとくくりに「ホームレス」とするべきではないと痛感しました。ビックイシューを販売している方々は、自らをホームレスと認め、社会復帰を目指すために販売員をやっている勇気ある方々です。一冊350円は学生にとって高いかもしれませんが、その内の180円が販売者の収入となり、社会復帰への手助けとなるのであれば、同じ日本人として今後も応援していきたいと思います。
角田昂優(文芸学部英文学科3年)
私は、ホームレスの方に希望と勇気を与え、社会復帰を支援しているビッグイシューと、真摯に仕事に取り組むホームレスの方の姿に心を動かされました。一方で、課題も発見しました。情報を集められる環境がなく、ビッグイシューの存在を知らない方がいます。また、知っていても遠方の方は事務所に来るのが非常に困難です。私はこのような方々にもビッグイシューを広めるべく、地方自治体に働きかけるなど今後も活動していきたいと思います。
芹沢幸之介(文芸学部英文学科2年)
このビッグイシューの販売体験を通じて私は、この仕事をしているホームレスの方々の社会復帰への意欲を身をもって感じました。路上で売るということで多く通行人の方の目に入るわけですが、身なりを整えて挑んだ私でさえ人前での販売に多少の恥ずかしさがありました。ホームレスの方々については言うまでもないと思います。しかしそれでも必死に一冊一冊売る姿にこの仕事に勤しむ上での覚悟を感じました。
田川広大(経済学部経済学科2年)
私がこの体験で強く心に刻みたいと思ったことはビッグイシューを売っているホームレスの方々の仕事に対する真摯な態度です。決して恵まれた環境と言えない中でひたむきに働くことで人としての強さを感じると共に、必死にいきるということについてホームレスの方々を私たちは見習うべきだと思いました。
ビッグイシュー東京事務所 森靖史さんのコメント
学生の方々に、人生初の?路上で雑誌販売をする経験をしていただきました。短くて長い「留学」を終えて、皆さん、生き生きとした表情で帰っていきました。ホームレスの人々が路上に立つことの意味、雑誌の販売を通して社会とつながる醍醐味などを、経験を通じて、フレッシュな視点で語っていただき、とても素晴らしい時間になりました!
正課科目「キャリアモデル?ケーススタディ」
人生の修羅場?土壇場?正念場に焦点を当て、想定外の出来事をどのように乗り越え今に至っているか、経験や学びがどのように今に活きているか、他者のキャリアをケーススタディしながら自らのキャリア観を醸成していく科目です。
「ビッグイシュー」
ホームレスの人々に収入を得る機会を提供する事業として、1991年に英国ロンドンではじまりました。ビッグイシューを創設しその基礎をつくったのはジョン?バードです。
雑誌販売者は、現在ホームレスか、あるいは自分の住まいを持たない人々です。住まいを得ることは単にホームレスの状態から抜け出す第一歩に過ぎません。そのため、住まいを得たホームレスの人でも必要な場合にはビッグイシューの販売を認めています。
最初、販売者は、この雑誌10冊を無料で受けとり、その売上げ3,500円を元手に、以降は170円で仕入れ、350円で販売し、180円を彼らの収入とします。販売者全員が行動規範に同意し、顔写真つきの販売者番号の入った身分証明書を身につけて雑誌を販売しています。(本誌296号より抜粋)