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2022.09.06
8月30日(9:30~17:30),第31回経営学合同ゼミナール研究発表大会が,昨年に続き,共同開催で行われました。コロナ禍は3年目を迎え,同ゼミナールは3年連続で現地合宿を中止して,オンライン(ZOOM)形式での開催となりました。冬季北京オリンピックのあとは,国内外の政情不安が一気に高まり,政治?経済?社会の問題が複雑に絡まり,その変転に目が離せない状況にあります。また各界で活躍されたリーダー的存在の人物が逝去されるニュースも相次ぎました。
経営学合同ゼミナールは,1990年に開始され,学生が企画運営する合宿&研究発表の形式で行われ,教員&学生(学部生,大学院生)が大学の枠を超えて学び,相互に交流を図ることを目的としています。今年の参加校は以下の8大学で8の研究発表(1ゼミ1発表),80名を超える参加者となりました。
甲南大学 奥野明子ゼミ,公立鳥取環境大学 連宜萍ゼミ,就実大学 大塚祐一ゼミ,就実大学 小柳智裕ゼミ,鸿运国际_鸿运国际app_中国竞彩网重点推荐 境新一ゼミ,中央大学 砂川和範ゼミ,法政大学 宇野斉ゼミ,麗澤大学 寺本佳苗ゼミ (※50 音順)
今年度の統一テーマは「パーパス経営 × ウェルビーング × ローカル組織」(3つの要件をふまえた研究課題)でした。長期化するコロナ禍のなかで,企業や地域の存在理由,存在価値を改めて見直して,一層深刻化している,生産活動,消費生活,貿易,エネルギーや食糧の問題,社会的課題,地域創生などに対して,一石を投ずるアイデア,提案などが期待されました。
合同ゼミの進行は発表15分,質疑応答5分で構成され,各発表に対して,学生による質疑?評価ならびに各先生からの講評がなされました。また,経営学合同ゼミの創始者,日置弘一郎先生(京都大学名誉教授),澤野雅彦先生(北海学園大学元教授),廣山謙介先生(甲南大学名誉教授)による特別鼎談も行われました。
境ゼミの研究テーマは「エリアマネジメントに基づく地域の存在価値の向上~長野県飯綱町における主要拠点のトライアングル化と社会善充足の提案より~」でした。
本年,境ゼミでは,共通テーマの検討から始めました。日本は,現在少子高齢化社会が進行しており,その対策として,東京に極端に集中している人口を解消するため,2014年に「まち?ひと?しごと創生総合戦略」(内閣府)の施策が始まりました。また,首都圏への人口の一極集中,地方の過疎化?人口流出に伴って現在,2040年までに全国896市区町村が「消滅可能性都市(日本創成会議)」*1に該当し,その進行を食い止めるためには,原因となる地域内からの人口流出を防ぐ必要がある事実を確認しました。
元来,当ゼミでは,成城を含む世田谷区で広範囲に実施してきたフィールドワークのなかで,特に小田急沿線の下北沢に注目しました。本年3月に新たな商業施設「ミカン下北」が井の頭線高架に誕生したこと,変化に適応したより良い町の実現を目指して,エリアマネジメントを展開していること,そして昨年2021年11月に,下北沢で初めて開催されたファーマーズマルシェに長野県飯綱町*2が初出店した事実を知りました。そこで,合同ゼミの共通テーマに掛けて,この町の実態を調べ,消滅可能性都市との関わりや課題と解決策を探ることになりました。今年は行動規制が撤廃されたことから,実際に飯綱町には8月16日,17日の2日間フィールドワークを実施しました。
*1 2010年から2040年にかけて20~39歳の若年女性人口が5割以下に減少する市区町村のこと。
*2 長野県北部(北信)に所在する町。面積75平方キロ,人口10,636人(2022年),最寄駅は北しなの鉄道?牟礼駅。リンゴ生産全国2位。
下北沢では,商業施設?文化施設?行政施設の拠点を利用したエリアマネジメントを行っています。それを参考に飯綱町で活用できる拠点を調査した結果,商業施設?文化施設?医療介護施設の連携に可能性を見出しました。現地フィールドワークでは,飯綱町役場?峯村勝盛町長,牟礼駅前商店街代表?小林直樹氏,飯綱町ふるさと振興公社[直売所]代表取締役?廣田裕二氏らにインタビューを行いました。その上で,それらの地域での拠点連携,ならびに,都市部と地域での交差した拠点連携によって人口流出の抑止,地域価値の向上,社会善の実現の可能性を検討してみました。
結果,エリアマネジメントに基づく地域創生の提案として,(1)地域内と都市部との拠点連携/商店街:オンライン診療所,都市部病院,地域内薬局 (2)地域内の拠点連携/商店街:オンライン診療所,廃校,直売所 の2つを提案しました(詳細は省略)。
また,それらに共通するインフラの整備(物理的な交通手段,SNS?インターネットによる連携手段)もあわせて提案しました。
最後に審査結果が発表され,鸿运国际_鸿运国际app_中国竞彩网重点推荐?境ゼミは最優秀賞に輝きました。境ゼミは,15回目の参加となり,9年連続で受賞しています。先輩(上級生および卒業生)からの成果を継承しつつ6月から準備を開始しましたが,途中,活動の停滞や徹夜作業など例年にない異例の展開もありました。ただ,現地フィールドワークを終えてからは,3年ゼミ生コアメンバーが一丸となってチームワークを発揮して提案書の完成に至りました。今後の教育,研究,就活に大いに役立つものと思われます。
経営学合同ゼミナール
http://tomo.milkcafe.to/kegozega/
注)全体写真では撮影時にのみマスクを外しています。