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2021.08.26
経済学部河口洋行教授が執筆した「文系のための統計学入門」は、学部1~2年生向けの統計学の教科書です。経済学科の新入生は「データ解析入門Ⅰ?Ⅱ」を全員履修することになっており、河口教授は2012年から当該講義を担当しています。私立文系向けの勉強をしてきた1年生の中には数式が苦手な学生も多いため、グラフ(視覚化)によって統計学のエッセンスを教える講義資料を試行錯誤して作成してきました。この講義資料をわかりやすくまとめたのが本書です。
例えば、学生が最初に躓きやすいのが、「分散?標準偏差」などのバラつきを示す指標です。数式を使わずにその内容を理解してもらえるように、AさんからJさんまでの10人の年収データを棒グラフで示し、平均値とデータの値の差を「矢印(偏差)」で示し、その偏差を1辺とした「正方形の面積(緑色)」を合計したのが偏差平方和、その偏差平方和をデータの数で割ったのが「分散」と図示しています。
また、分散から標準偏差を計算するには、分散を「茶色の正方形」(2500)で示し、「その1辺」(50)を標準偏差として図示することによって、累乗やルート(√)を使わずにエッセンスを伝えています。
次に理解しにくいのが確率分布の概念ですが、本書ではゴルトンボードという実験道具を用いて、その動画をQRコードでYouTubeから視聴できるようにしてあります。
その後で、なぜ特定の確率分布が山型(単峰性)になるのかを、ゴルトンボードを単純化したグラフによって説明しています。ここから正規分布やt分布に説明を展開していきます。
このように、多くのグラフを細かく配置することによって、平均値から機械学習の入口まで学生の理解を引き出そうとしています。なお、本書にはこのような図表が198個あり、全体が238ページなので、ほぼ1ページに1つの図表を入れてあります(但し、書籍は白黒印刷です)。
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