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2024.01.12
2023年12月22日(金)、初年次キャリアデザイン科目「プロジェクト演習〈ホスピタリティとサービス〉」1)の報告会を、学内グローバルラウンジにて開催しました。
本科目では「ホスピタリティ」を、職業人?世界市民としてのおもてなし?思いやりと広義に捉え、他者とともによく生きていくための在りようを、知識と実践を通して追究していきます。授業15回の前半にはゲストスピーカー6名よりホスピタリティの実践について学び、授業後半は学生たちがチームでホスピタリティの現場を自ら選定しアポイントをとり、各分野のスペシャリストにインタビューに参りました。終盤には、ゲストスピーカー?インタビュイーはじめ計10名を招聘し、屋台村形式2)で活動成果を発表しあい、各々の「ホスピタリティ」の持論を語りあいました。
翌回の授業では、チーム内、チーム間でのふり返りを行い、報告会当日の学びや気づき、感動や歓びをわかちあいました。
授業最終回には、全員が個々に『わたしにとってのホスピタリティ』をテーマにミニプレゼンテーションを行い、互いの考えを聴きながら、「わたしならではのホスピタリティ」を成熟させ、全15回の授業を終了します。
インタビューのテーマ
『ホスピタリティを仕事にしている人たちは何をモットー*にキャリアを築いているだろうか』であり、学生たちが関心ある業種?職種を選定し、学生自らアポイントを直接とり、誠意をもって臨みました。
*モットー:何を大事に、どんな働くスタンスのもと、どんな働きがいを感じているか、実例のエピソードをもとに
プレゼンテーションは全員がホスピタリティを発揮する場でもあり、”場を豊か”にすることで真の対話につながりました。
学生のコメント1
発表の会場に入った瞬間から温かい雰囲気に包まれていて、居心地が良かっです。それは、発表する側?聞く側が何か新しい学びをしたいという意欲から来るホスピタリティだと感じました。実際、私が発表している時、相槌を打ちながら聞いてくれたり、笑顔で聞いてくれました。とても緊張していて上手く話せなかった時でも、一生懸命聞こうとしてくれている姿勢が感じられ、嬉しかったです。私は人の前で話すことが苦手なので、最初から最後まで緊張してしまいました。しかし、みなさんの一生懸命聞こうとする素直な心?ホスピタリティのおかげで少し緊張がほぐれ、楽しい時間を過ごすことができました。あの場にいたみなさんに感謝しています。また、最後に杉山さんが「学生のみなさんに刺激を受けたので、これからもまだまだ新しいことに挑戦して、学び続けたいです。」とおっしゃっていたのが印象に残っています。十分すぎるくらい色々な経験をされていても、さらになお成長していきたいという杉山さんの謙虚な姿勢にとても感銘を受けたと同時に、尊敬しました。私もこれから色々な経験をし、様々な人と関わっていき、新たな発見や他者の考えや価値観に触れることで、人として成長をしていきたいです。ホスピタリティの発表は、私の人生でとても大きな経験でした。
学生のコメント2
私が楽しみにしていたほかの班の発表を聞いて、その分野に対するホスピタリティの観点が広がりました。中でも特に印象に残ったのは、結婚式場と美術館です。この2つのプレゼンから学んだことは、場所が提供するホスピタリティです。具体的には、結婚式場は、ずっと変わらない景観を保ち、いつ訪れても思い出が残る場所であること、美術館は、美術品を綺麗にしまっておくのではなく、人の目に触れるところにおいて、芸術を楽しむ場を提供することです。私はテーマパークを対象として、中でもキャストとゲストやキャスト同士のホスピタリティに注目してインタビューを行ったので、場所が持つホスピタリティとは新たな観点だなと思いました。テーマパークという場所もホスピタリティを持っていると予想しているので、まだまだ研究の余地があるとわくわくしました。機会があれば再びインタビューをしたり、自分で考えてみたりしたいと思います。このホスピタリティの授業は全体を通して私の興味関心をくすぐる内容でとても楽しく取り組め、貴重な体験が出来ました。
学生のコメント3
この授業が始まった頃はその日に同じグループになった人と話すことも躊躇していました。しかし、回を重ねることにより、どうやったら全員が話せる環境を作ることが出来るかを考えたりしていて、自分の意識が変わったことをすごく感じました。授業以外でも、バイトの時でも周りを見て自分ができることを探すようになり、家では家族にもなるべくコミュニケーションを取り、気持ちを伝え合うよう努力するようになりました。この授業を受講して、ここまで自分の意識が変わったことに自分でも驚いています。授業内で見かけるホスピタリティやアイスブレイクで学んだホスピタリティを自分の生活に置き換えて、何ができるかを考えて行動するようになり、人と気持ちがぶつかり合うことや家族と言い合いになることがなくなり、自分自身も楽になりました。人に優しくするといつか自分にも返ってくるというホスピタリティの連鎖を信じて自分の出来るホスピタリティを追求して行けたらいいなと思います。
ゲストスピーカーのコメント
杉山祐一様(卒業生)
拙著の出版がご縁で、当科目の4回目授業に参加させていただきました。私のサンティアゴ巡礼旅でのホスピタリティ体験を皆さんと共有し、対話を通して世界市民としての生き方を理解し合えたことは、私にとっても大きな励みとなりました。後半の授業では学生の皆さんが主役となる報告会に出席。チーム毎のプレゼンテーションに感嘆しました。特に、各分野のスペシャリストへの取材から様々なホスピタリティを学び、その達人たちの働きがいを吸収する力には感心しました。今後は授業で学んだ知識と実践力を糧に、人々の歓びにつながるホスピタリティをさらに発揮していくことを期待します。
著書:杉山祐一(2022)『スペイン巡礼 スケッチ百景』年友企画 https://www.nen-yu.co.jp/topics/37/
インタビュイーのコメント
東谷千恵子様(世田谷区立世田谷美術館学芸部普及担当マネージャー)
学生の皆さんから「ホスピタリティ」についてインタビューしたいと依頼を受けた時、実は少し戸惑ってしまいました。ホスピタリティ=従事するサービス精神、おもてなし、顧客満足度、つまり表向きの接客術について聞きたいのだと一概に捉えてしまったからです。美術館というのは、もちろんサービスを提供する施設ではあるのですが、個人の要望を満足させること以上に社会的な目的を大切にしています。それをどうわかってもらおうかとお話をさせていただく中で、逆に自分が今までホスピタリティという言葉の意味をとても狭く捉えていたことに気づかされました。
そして、学生の皆さんも事前にきちんと下調べをし、興味を持って熱心に話を聞く姿勢はさすがのホスピタリティが溢れていて、とても気持ちよく楽しくお話できました。今回のことで、本来のホスピタリティとは、お互いが、その場にいる皆が、気持ちよく輪を繋ぐことであると、改めてわたしが学ばせていただきました。
世田谷美術館 https://www.setagayaartmuseum.or.jp/
有志の“おもてなし隊”が、ゲスト一人ひとりにカスタマイズした手づくりの「ネームタグ」と、「インビテーションカード」(日本語?フランス語)を作成。ゲストはこのギフトを携帯しながら各ブースを巡回し、終了後には大切にお持ち帰りになられました。
正課科目「プロジェクト演習〈ホスピタリティとサービス〉」について
本科目の目的は,学生が,キャリア形成における「無形の資産」の価値(身体的文化資本)をホスピタリティとサービスの視点から探り,自ら発揮することである。鸿运国际_鸿运国际app_中国竞彩网重点推荐では建学の精神(育む人間像)として、次のように述べている2)。
創立者、澤柳政太郎は、正直、真面目という道徳を身につけ、個人の「天分」を熱心かつ旺盛に伸ばした結果、知性?心情ゆたかで意志強固な「独立独行」の社会人になることを願いました。フェイアプレイの精神を持ち、美的生活を心がける「教養ある紳士淑女」になることと同時に、変わりゆく世界の中で「独創力」を持った奮起する人間となることをさらに期待しました。
本科目では、ライフ?キャリア教育の中の、特に人格教育として、「ホスピタリティ」(おもてなし、思いやり、優しさ、歓待といった意味合い)について専門家?実践家より学び、自らも体現しながら、人としての在りようを追究していく(シラバスより抜粋?一部改編)。
このようなホスピタリティ教育は、教育理念を継承していくキャリア教育の一つと位置付け、2017年度よりキャリア教育に実装している。
注)
1) 2023年度「プロジェクト演習〈ホスピタリティとサービス〉」シラバス
2022年度の報告会の様子
/career/news/jtmo420000017dhy.html
2) 屋台村形式
学生は交代で自らチームの代表としてブースを任され、全チームが同時に計7ラウンドのプレゼンテーションを行った。ゲストとプレゼンター以外の学生はブースを巡回し、ブースに集まった全員が対話をしながらアイデアを発展させていく。
文責?科目担当者 勝又あずさ(鸿运国际_鸿运国际app_中国竞彩网重点推荐 キャリアセンター)